| 目次
1. 取引モード概要
1.1 クロスマージンモード
1.2 分離マージンモード
2. 分離マージンモード計算
2.1 資金調達率
2.2 概算強制決済価格
2.3 未実現損益
3. クロスマージンモード計算
3.1 未実現損益
3.2 未実現損益を含めた純資産額
3.3 ポジション証拠金
3.4 利用可能証拠金
3.5 証拠金率
3.6 資金調達率
3.7 概算強制決済価格
1. 取引モード概要
1.1 分離マージンモード
分離マージンモードでは、各ポジションが独立しています。損失により証拠金が強制決済ラインを下回ると、ポジションごとに強制決済が行われます。
1.2 クロスマージンモード
クロスマージンモードでは、ポジション証拠金と利用可能残高全体は損失を負担することに使用されます。つまり、各ポジションがポジション証拠金以上の損失を被ることが可能です。但し、損失により強制決済ラインに到達する場合、ポジション全体が強制決済され、すべての資産を失うことになります。
2. 分離マージンモードの計算について
2.1 資金調達率
- ロング/ショートのポジション保有者は、8時間ごとに決済と資金調達費用の交換を行います。決済時にレートがプラスであれば、ロングポジションの保有者はショートポジション保有者に資金調達費用を支払い、レートがマイナスであれば、その逆となります。
- 資金調達費用 = 取引総額×資金調達率×ポジション方向
- ポジション決済時統一計算
2.2 概算強制決済価格
USDT標準先物: 概算強制決済価格 = 注文価格 + 注文価格 × [取引手数料 + 資金調達費用 - (1 - 調整係数) × 証拠金]/(総取引量 × 方向)
インバース型:概算強制決済価格 = 方向 × 総取引量 × 注文価格/[(1-調整係数) × 証拠金 + 方向 × 総取引量 - 取引手数料 - 資金調達費用]
2.3 未実現損益
USDTの証拠金取引を例に取ると、
未実現損益率=取引方向×取引総額×(決済価格-参入価格)/(参入価格×証拠金)
未実現損益=未実現損益率×証拠金
3. クロスマージンモード計算
3.1 未実現損益
未実現損益は、保有しているポジション全体が実現した変動損益を示し、損益状況をまとめます。
3.2 未実現損益を含めた純資産額
すべてのポジションを決済した後、口座資金はポジション決済前と同じになることが理想的だと考えられます。
例えば、ユーザーのAさんが100 USDTを口座に入金し、2つのポジションを建てて(取引金額に関係なく)、口座の未実現損益が5 USDTにしましょう。
この場合では、純資産額は105 USDTになります。
3.3 ポジション証拠金
ポジション証拠金はポジション全体の注文時の証拠金合計です。
例えば、ユーザーのAさんが10 USDTの証拠金と5 USDTの証拠金で2つのポジションを別々に建てたことにしましょう。この場合では、ポジション証拠金は15 USDTです。
3.4 利用可能証拠金
利用可能な証拠金とは、注文を作成するために利用できる証拠金額のことです。
クロスマージンモードでは、未実現損益が「利用可能証拠金」に直接影響しますのでご注意ください。
未実現利益が増加すると、利用可能な証拠金も増えます。未実現損失が増加すると、利用可能な証拠金も減少します。
そのため、クロスマージンモードでは、利益確定注文が他の損失確定注文を相殺することが可能です。一方、変動利益でポジションを建てることができ、資金活用の効率化が期待できます。計算式:利用可能な証拠金=純資産額-ポジション証拠金(最小値は0)
例>
例えば、ユーザーのAさんが100 USDTを口座に入金し、2つのポジションを建てて、口座の未実現損益が5 USDTとします。この場合では、純資産額は105 USDTで、ポジション証拠金は15 USDT、利用可能な証拠金は90 USDTです。
未実現損益が55 USDTになると、純資産額は155 USDTに増加し、利用可能な証拠金は140 USDTになります。 (よって、変動利益は直接利用することが可能です)
3.5 証拠金率
証拠金率は口座のリスクを測るための最も重要な指標です。
証拠金率は強制決済の根拠として、0%になると、ポジションは強制決済されます。
証拠金率が高いければ高いほどリスクも低くなります。証拠金率が低くなれば、その逆となります。
計算:証拠金率 = エクイティ / ∑(注文証拠金 × 調整係数) - 1
例:調整係数が10%、純資産が150 USDT、注文証拠金が15 USDTの場合:
証拠金率 = 150/(15×10%)-1=9900%
純資産が1.5 USDTまで下がると、1.5/1.5-1=0、強制決済のトリガーとなります。
3.6 資金調達率
-
ロング/ショートのポジション保有者は、8時間ごとに決済と資金調達費用の交換を行います。決済時にレートがプラスであれば、ロングポジションの保有者はショートポジション保有者に資金調達費用を支払い、レートがマイナスであれば、その逆となります。
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資金調達費用 = 取引総額×資金調達率×ポジション方向
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資金調達費用は8時間ごとに差し引かれ、履歴を生成します(分離マージンモードとは異なります)。
3.7 概算強制決済価格
3.7.1 USDT標準先物
ユーザーAが複数の取引ペアのポジションを保有していると仮定します。証拠金率が≦0になると強制決済が発動されます。
ここで、Liqを強制決済価格と定義します。
Liq(BTC)=(∑An+K)/∑Bn
ここで、A、BはBTCの注文に関連する場合:
A = 証拠金×レバレッジ×方向
B = 証拠金×レバレッジ×方向/注文価格
K = ∑(注文証拠金 × 調整係数) - 口座残高 - 他の取引ペアの合計損益
注文証拠金は、全ての取引ペアの全注文から取得されます。
3.7.2 インバース型先物取引
ここで、Liqを強制決済価格と定義します。
Liq(BTC) = ∑Cn / (∑An - K)
AとKがUSDTと同じである場合:
A = 証拠金×レバレッジ×方向
K = ∑(注文証拠金 × 調整係数) - 口座残高 - 他の取引ペアの合計損益
C = 証拠金 × レバレッジ × 注文価格 × 方向